家具の仕上げ方法で多い、ウレタン塗装の特徴についてご説明いたします。
https://www.receno.com/pen/school/u12/2016-09-09.php?公開日 2025年10月27日(月)
【動画解説つき】ウレタン塗装とラッカー塗装、どう違う?
特徴の違いを比較解説します。
こんにちは。
商品部の関です。
唐突ですが、みなさまは家具の仕上げ塗装に
どこまで気を配られておりますでしょうか。
「木材というのは分かるけど、仕上げ塗装?」
という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、特に家具の仕上げ塗装で多い、
「ウレタン塗装」と「ラッカー塗装」について、
何がどう違うか、また各々の特徴をおさらいします。
下記の動画でも触れておりますので、
今回の記事と合わせてご覧ください。
こちらを読み終えた後には、今後の家具選びの際に、
塗装の視点も含めていただければ幸いです。
それでは見ていきましょう。
ウレタン塗装とは? 特徴と使われ方
それではまず、仕上げ塗装の代表格、
ウレタン塗装について簡単にご説明します。
じっくりと読みたいという方は、
下記の深掘り記事もあわせてご覧ください。
① ウレタン塗装の特徴
まず、ウレタン塗装とは、現代で一番普及している
一般的な仕上げ方法で、ウレタン樹脂を塗装し、
表面に塗膜を作ります。
生産工場での塗装風景
分かりやすくすると、表面を樹脂で
コーティングするということです。
ウレタン塗装の塗料や厚みにもよりますが、
概ね、家庭で使用するテーブルなどの場合、
0.05~0.1mm程の厚みとなります。
※ラッカー塗装との比較がしやすいように、ウレタン塗装の塗装面をイメージでは厚くしております。
加工後の表面は、サラッとしていたり、
光に当てると少しツヤっと見えたりします。
リセノで使用しているウレタン塗装は、
艶消し/導管開きというマットな仕上がりに
なるよう調整して、製造しています。
そうすることで、ウレタン塗装ながら輝度を抑え、
ウレタン塗装独特のテカテカとした仕上げにせず、
木肌を感じられる、落ち着いた質感に仕上げています。
② ウレタン塗装のメリット・デメリット
さて、仕上げ塗装には各々一長一短があり、
ウレタン塗装のメリット・デメリットについてです。
メリット:取り扱いやお手入れが簡単
ウレタン塗装のメリットは、
なんといってもお手入れが簡単という事です。
表面をコーティングしているので、
特に水気の汚れなどが木部に染み込みにくく、
基本的には拭くだけで汚れを落とすことができます。
また、頑丈で少し高価にもなる無垢材の場合、
特にダイニングテーブルの天板など、
お部屋の使用環境により反ったりする場合があります。
湿度や温度の変化による「調湿作用」で
木材が膨張・収縮を繰り返すことで起こるのですが、
表面の塗膜がある事で、多少反りにくくもなります。
過度な乾燥によるひび割れなどにも、
同様に効果があります。
(反らない・割れが起きないという訳では
ありませんので、ご注意ください!)
デメリット:大きな傷などの補修が難しい
※画像はイメージとなります。
日頃のお手入れも簡単で、反り防止にも効果があり、
一見デメリットが無いようにも見えますが、
デメリットもあります。
ウレタン塗装のデメリットは、
傷などが付いてしまった場合、
元に戻すことが非常に難しいという点です。
日頃のお手入れは簡単ですが、例えば、
- 凹凸感の出る過度な傷をつけてしまった
などの場合、塗膜があるがゆえに、
部分的な修理が難しくなります。
部分的にと記載したのは、ウレタン塗装の修理の場合、
一度表面などの塗装を全て剥がし、
修理してから再塗装するという工程が必要だからです。
修理費用も高額になりかねないので、こうなれば、
買い替えるタイミングと言ってもいいでしょう。
③ ウレタン塗装のお手入れと注意点
ウレタン塗装の基本的なお手入れ方法は、乾拭き、
または薄めた中性洗剤で拭く方法です。
下記にお手入れ方法について詳しく触れている
動画がありますので、そちらをご参考ください。
ラッカー塗装とは? 特徴と使われ方
続いては、ラッカー塗装について
特徴や使われ方をご説明していきます。
① ラッカー塗装の特徴
ラッカー塗装は、ウレタン塗装が普及するまでは、
比較的一般的な塗装方法でした。
ラッカー塗装は、先ほどのウレタン塗装同様、
表面に塗料を塗装して施される方法です。
主に使われることが多い物で言えば、
ギターなどの仕上げによく使われます。
ラッカー塗装は、ウレタン塗装に比べ塗膜が薄く、
一概には言えませんが、0.4~0.5mm程。
そのため、木材表面の木肌などを、
より感じやすくなります。
一度塗装するだけではなく、
下塗り・中塗り・着色・上塗りというように、
何回も塗装して先ほどの厚みになります。
一言でいえば、ウレタン塗装より塗膜が薄い
コーティングと理解いただければと思います。
② ラッカー塗装のメリット・デメリット
ラッカー塗装にも、メリット・デメリットがあります。
メリット:木の質感を感じやすい
ラッカー塗装のメリットは、薄い塗膜ですので、
木部の木肌をウレタン塗装より感じやすくなります。
また、塗装によるコーティングは施されているので、
木の風合いを損ねず、お手入れも簡単化できます。
アンティークの家具などによく使用され、
塗膜が厚く経年変化しにくいウレタン塗装に比べ、
使用する中で、木材の経年変化も楽しめます。
デメリット:耐久性に少し注意が必要
そして、デメリットですが、塗膜が薄いため、
水分や熱にはあまり強くありません。
「それでも表面はコーティングされてるのでは?」
となりそうですが、コーティングの層が薄く、
細かな隙間などから水分などが入り込み、
白化や輪ジミなどが発生する場合があります。
万が一こうなってしまった場合は、
下記の方法で補修できる場合がありますので、
ご参考にしてみてください。
③ ラッカー塗装のお手入れと注意点
下記に、ラッカー塗装のお手入れ方法について
詳しく触れている動画がありますので、
そちらをご参考ください。
各塗装の特徴一覧
さて、ウレタン塗装・ラッカー塗装の違いについて
ここまでご説明してきました。
最後にまとめとして、各々の塗装の特徴などを
簡単に一覧化しておきます。
| 内容 | ウレタン塗装 | ラッカー塗装 |
| お手入れ | 基本は拭き掃除のみ | 基本は拭き掃除のみ |
| 耐水性 | 強め | 中程度 |
| 耐熱性 | 高温の場合注意が必要 | 注意が必要 |
| 耐汚性 | 強め | 中程度 |
| 対候性 | 比較的安定(変化が少ない) | 過度な温度変化には注意が必要 |
| 修理性 | 大きな傷などが付くと補修が困難 | 軽微であれば補修可能 |
| 向いている場所・場面 | 水気や使用頻度が高いダイニングなど、 汎用性が高い場所 | 環境の影響が少なく、特に触れ心地などを 大事にしたい場所(チェアーなど) |
それぞれの違いを理解して、
暮らしにあった塗装方法を選びましょう。
塗装方法は、今回以外の種類もありますが、
まずは一般的なこちらを把握いただきたく思います。
どちらも塗装による塗膜タイプですが、
各々での違いがあり、場所や用途に応じて塗装方法も
家具選びのポイントに加えていただけると幸いです。
- ウレタン塗装とラッカー塗装、どちらも家具を守る仕上げ塗装ですが、
「強さ」と「風合い」のバランスが異なる。 - 大きな違いは、塗膜の厚さ。
- 使う場所・ライフスタイル・好みで選ぶのが最適。
- 可能な限り、展示品を実際に触って質感を確かめるのがおすすめ。
長く家具をきれいな状態で扱い続けるには、
家具の特徴も把握しておく必要があります。
どんな仕上げ方法で、どんな特徴があるのか。
それを把握しておくだけでも、日頃の取扱い方法や、
何かあった際に、すごく焦る必要もなくなります。
人間と同じで、家具のプロフィールを知り、
長く生活を共に過ごしていただければ嬉しいです。
どちらの塗装にも使えるメンテナンスアイテムも
ございますので、お困りの際には、
下記の動画と合わせてご参考ください。
メンテナンスアイテム一覧
それでは、最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

















リセノ品質管理部
BM 山本
品質管理 遠藤