
公開日 2025年07月30日(水)
更新日 2025年07月30日(水)
【くちぶえエッセイ】遠くなる背中と、
夏夜のトントン
長い長い夏休み。
小学3年生の娘は、
ほとんど詰めるだけとはいえ、
毎朝自分でお弁当を用意しています。
小さなお弁当箱に一生懸命詰めている姿は、
忙しい朝のわたしには眩しく映るんです。
「大きくなったな」と思う瞬間。
夏休み中だけは、
毎朝娘を車に乗せて学童へ。
共働きのわが家の日常です。
到着すると「行ってきます!」
とだけ言って、こちらを振り向かず
友達のもとへ駆けていく後ろ姿。
もう親より友達との時間が
楽しいんだろうな。
休日はキャンプに行ったり、
バーベキューをしたり、
庭でビニールプールを広げたり。
すっかり焼けて真っ黒になった
娘の腕と顔。
笑うたびに白い歯が光って、
「夏本番だな」と感じます。
その姿が、まるで夏そのものみたいで。
夜には手持ち花火を楽しむことも。
去年まで火を点けるのを
怖がっていたのに、
今年は自分から持ちたがるように。
お調子乗りだけど怖がりな娘。
少しずつ勇気を出す姿が愛おしいんです。
庭の野菜もすくすく育っています。
朝、水をやるときの
娘の表情は真剣そのもの。
虫に怯えながらもトマトを収穫して、
「ママ見て!」と笑う顔。
大きくなったと思う一方で、
まだまだ甘えん坊だなとも思うんです。
最近は休日の予定も友達優先。
親の知らない顔をどんどん増やしながら、
大きくなっていくんだろうな。
助かる部分もあるけれど、
ぽっかり空いた気持ちは、
やっぱりちょっと寂しい...。
親の知らない景色をたくさん見て、
大きくなるんだろうなと思うと、
どんな思い出を作るんだろうって、
少しわくわくもします。
わたし自身も、今年の夏をちゃんと
記憶に残しておきたい。
小さい頃から一人で寝られる娘だけど、
「寝かしつけはして」と毎晩言う。
布団の中でお腹をトントンしてあげると、
ぬいぐるみを抱きしめながら、
安心した顔で目を閉じる姿に、
「まだまだ子どもだな」と思えてほっとする夜。
娘の背も、庭の植物も、夏空も、
これからもっと伸びていく。
長い長い夏休み、
どんな思い出が増えるんだろう。
さて次の休日は、
どこに行こうかな。