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フェザーソファ「folk sofa」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

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こんにちは。ヤマモトです。

約5年におよぶ長期間、実現を目指し続けてきた
ふんわりもっちりとした座り心地のベーシックソファ
がようやく完成しました。

本日のマガジンでは、特別な座り心地を表現したこの
ソファーの企画経緯とコンセプトをお話しいたします。

目指したのは、思わず倒れこみたくなる
「ふんわりもっちり」な座り心地

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帰宅して、そのまま「ドサッ」と倒れこみたくなる
ようなとにかく気持ちのいい柔らかさ。

体全体が包み込まれるような「ふんわりもっちり」な
ソファーを作りたいというのが、企画のはじまりでした。

ふんわりもっちりな独特な座り心地を再現する素材を
求める中、最初にたどり着いたのは「フェザー」。
座や背クッション部分に使用すると、ゆっくりと体に
フィットするような独特の柔らかな触感を得られます。

リセノのオリジナル製品「NOANAソファー」も
柔らかさを感じられるように、フェザーをふんだん
に使用したソファーです。

実は、約3年前に発売したNOANAソファーでも、
当初は、今回のもっちり柔らかな座り心地を目指して、
製作を進めていました。

ただ、そのときには最終的に求めるような
「ふんわりもっちり」には至りませんでした。

開発段階で高い壁となったのは「柔らかさとコシ」の両立。

座クッション自体の柔らかさを追い求めると、座った
ときにフレームの底当たり感が出てしまい、柔らかく
はなるのものの、座り心地の質が著しく下がります。

柔らかでありながら、体をしっかりと支えてくれる
「コシ」を両立しなくてはならないのです。

NOANAソファーのときには、1つあたりのクッション
に入れるフェザーを増減してみたり、硬めのウレタン
に変えてみたり、はたまた、硬さの異なるウレタンを
2枚使いにしてみたり。

たくさんのことを試してみましたが、思うような
柔らかさとコシを両立できず、最終的にはある程度
硬さのあるウレタンを採用することで、底当たり感を
無くしました。

NOANAソファーは、フェザーソファーの中でも少し
硬めの座り心地で、これはこれで良いソファーに
仕上がったのですが、

「ふんわりもっちりな座感のソファーを作りたい。」

こんな思いを抱きながら、プロダクト関連の書籍を
読み説いたり、いろんなお店に置いてあるソファーを
研究したり、提携工場で相談したりと実現に向けて、
着々と研究を重ねていました。

そして、様々な情報を集め、試作を重ねていく中で、
座り心地を構成する要素は4つあり、この1つ1つを
見直していくことが「柔らかさとコシ」を両立する
唯一の手段ということが分かってきました。

構成要素は、4つ。

・ウレタン
・フェザー
・ウェービングベルト
・ファブリック

の1つ1つを見直していったのです。
1つずつ紐解いていきます。

<座り心地のポイント1>
柔らかさとコシを両立するための「高密度低ニュートン」

まずは、柔らかさとコシを両立するために、座り心地
の要素の1つである「ウレタン」を見直すことにしました。

一般的にウレタンは、ウレタン溶剤の使用量により、
「比重」と呼ばれるウレタンの質が変わります。
「比重」は「密度」と捉えると分かりやすいでしょう。

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比重が高い(=材料多め。密度が高い。値段高い)

・密度が高いので、重い
・密度が高いので、硬い
・密度が高いので、へたりづらい

比重が低い(=材料少なめ。密度低い。値段安い)

密度が低いので、軽い
密度が低いので、柔らかい
密度が低いので、へたりやすい

のです。

つまりは、単純に柔らかな座り心地を目指す場合、
比重が低いウレタンを使用することになります。

さきほども書いたNOANAは、比重の高いウレタンを
採用し、体を支えてくれる土台を作ることでコシを
作り、その代わりに
少し硬めの座り心地になったのです。

ただ、今回のfolk sofaが目指した「ふんわりもっちり」
を実現するには、比重の高いウレタンは採用できません。

比重が高く、それでいて、やわらか。
そしてコシもしっかりと作れる。
そんなウレタンが必要でした。

「高密度低ニュートン」ウレタン

20171002180239.png 真ん中のパープルが新開発ウレタン。気泡が大きく入っています。

そして提携のウレタン工場により、新たに開発された
のが「高密度低ニュートン」ウレタンです。

ニュートン値とは、ウレタンの硬さ(反発力の強さ)
を表す単位のこと。ニュートン値は高いほど硬く、
低いほど柔らかいということです。

今回のウレタンは、

通常のウレタン:25キロ比重65ニュートン
新開発ウレタン:25キロ比重10ニュートン

と同じ比重でありながら、圧倒的な柔らかさを実現した
ウレタンなのです。

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左が新開発ウレタン。検査器で測ったところ約10ニュートンと非常に軽いのが分かります。

その秘密は、中にたくさん含まれる気泡。

ウレタン内部に気泡をたくさん含んでいて、柔らか。
気泡以外の部分には、その分より比重の高い濃密な
ウレタンになっていて、コシがあり、へたりづらい。

そして、空気と濃密の絶妙な折り合いによって、
「もちもち」とした独特の触感も味わえるウレタンが
完成しました。

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専用測定器の粘度の調査でも、引っ張ってもなかなか
切れないウレタンであることが分かります。

20171002180314.png ウレタンをはさんで、上に引っ張りあげる検査

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ちなみに価格は、通常のウレタンの3倍以上。

ウレタンは通常は、機械で一気に成型しますが、
このウレタンは機械では再現できない特殊仕様のため
手作業で発泡をしており、値も張ります。

それでも座り心地を実現するために、このウレタンが
必要だったのです。

<座り心地のポイント2>
ベッドで使用される「テンションラバーベルト」

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次にこだわったのが、ソファーの座面下で本体に
設置されているウェービングベルト。

こんな風に座面下に張り巡らされています。

このウェービングベルトは、クッションの下に位置し、
体全体の体重を受け止める働きをします。

NOANAソファーの製作時には、クッションやフェザー
にばかりに注目して試行錯誤をしていましたが、その
後に様々な情報を集めるなかで、このウェービング
ベルトが、柔らかさとコシのポイントの1つであること
に行き着きました。

folk sofaでは、ウェービングベルト自体に弾力がある
「テンションベルト」というものを採用。

テンションベルトは、ベッドで使用される素材で、
ソファーで通常使用される通常のウェービングベルト
に比べて非常に弾力があり、柔軟に伸縮する特性を
持っています。

いわゆるバネのような弾力があり、クッションを
柔らかく、高反発に支えることで、より柔らかく
コシのある座り心地を実現できています。

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ウェービングベルトの代わりに、コイルスプリング
を採用することで、バネのような反発力を出すソファ
もありますが、folk sofaは「倒れこみたく」なる
ソファーなので、将来的にきしみ音などが出てしまわ
ないように、テンションベルトという特殊な素材を
採用しました。

<座り心地のポイント3>
体をしっとりと受け止める「スモールフェザー」

そして、ふんだんに使用しているフェザーにも、
こだわりの素材を使用しています。

通常、フェザーと一口で言っても、様々な品質のもの
がありますが、このソファーに使用しているのは
「スモールフェザー」。

通常のフェザーよりも羽が小さく、より繊細かつ
柔らかさな触感を感じられます。また、通常のフェザー
よりも復元力が高いのも、ソファーの座り心地を
高めてくれています。

また、背もたれのクッションには、スモールフェザー
に合わせて「ポリエステル綿」も配合しています。

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ポリエステル綿は、マットレスの表面に使用される
柔らかな綿素材で、廉価なソファーなどに頻繁に使用
される「ウレタンチップ」のように、フェザーに絡み
つくことなく、フェザーが常に体を受け止めやすい
状態を保ってくれます。

<座り心地のポイント4>
「柔らかな触感と、カバーリングのゆとり」

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最後となる4つ目の素材が、ファブリック。

実際に体に触れる素材ですから、ここも他のオリジナル
プロダクトと同様にこだわりました。

今回採用したのは、モケットのクリンプ生地。
モケットは、電車やバスなどの座席での使用で
おなじみの生地で、触感はとてもなめらか。
それでいて耐久性も抜群です。

今回は、このモケット生地に工夫を施し「クリンプ」
という、わかりやすく言うとパーマのような仕上げを
かけています。

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モケット生地は、毛並みが一方向に向いてしまうと、
そこだけが色が変わってしまう特性
があります。

電車なんかで小さいころに、椅子に手で絵を描いたり
したことありますよね。あれがそうです。

クリンプをかけることによって、毛並みが一方向に
向いてしまわないようにするとともに、毛の先端と
側面の色を変えることにより、色が混じった様な
独特の色合いを表現しています。

この生地も通常の生地と比べると、品質が高い分、
かなり原価が高い生地なのですが、その分、長く使って
いただけると考え、採用しました。

また、もうひとつの生地のこだわりとして、
カバーリングのサイズをすこし大きめに作っています。

生地が大きめなことで、クッションの中のフェザーが
座ったときに動ける(逃げる)スペースが確保でき、
座った時に、より柔らかさを実感できます。

また、立った後の「くしゃっ」となったファブリック
のルーズさ具合が、このソファーの気取らない柔らか
な風合いに合うというデザイン側面のアプローチでも
あります。

クリンプ生地は、オリーブ・ネイビー・グレーの全3カラー展開。

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また、人気の高いオリジナルプロダクト「WIRY」と
合わせやすいようにコーデュロイの生地も同時に
発売します。

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こちらも柔らかな触感で、このソファーにぴったりです。

東京店・京都店で先行販売中。
オンラインでの発売は11月頃です。

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今回は、新作ソファー「folk」の企画経緯と、
コンセプトをご紹介いたしました。

長い期間かけて製作してきた、こだわりの座り心地を
もったソファーですので、ぜひとも店頭にてお試し
いただき、他にない座り心地を体感いただければと
思います。

folkソファシリーズ

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