公開日 2020年09月11日(金)
更新日 2023年10月04日(水)
知っていますか? 家具を作る道具たち。
刃物の手道具3点についてご紹介します。
こんにちは。
みなさま、はじめまして。
この度、新しくRe:CENO KYOTOに仲間入りしました、
ムロノソノと申します。
今年の5月からRe:CENOに入社し、
京都店の店舗スタッフとして働いております。
前職では家具を作るお仕事しており、
造作家具や木の小物など作っておりました。
家具がとても好きで、インテリアの魅力を多くの方に
お伝えしたいと思っておりますので、
どうかよろしくお願い致します。
さて、話は変わりまして、
みなさんは家具がどのようにして作られているか
気にされたことはありますか。
みなさんのご自宅にある家具は、
誰かの手によって作られています。
今回は家具を作っていた私の経験も踏まえながら
家具を作る時に使う『刃物の手道具3点』について
ご紹介したいと思います。
家具のこういった形には
このような道具が使われているというのを
知っていただけると、また違った視点で
インテリアが楽しめるかと思います。
それではご紹介していきます。
木を削る道具:鉋(かんな)

鉋(かんな)は後ろに引きながら、
表面数ミリを薄く削り、
テーブルの天板などの『化粧面』を
仕上げる道具になります。
・刃の出しろの調整
・木目の読み方
・力の加減
それらを微調整しながら作業を行うので、
仕上がりは使う人の腕に左右されます。
『平らな接合部』にも鉋は使われており、
木組みを行った際にできる、僅かな段差を
平らに仕上げる事が出来ます。
AGRAソファーの土台の枠部分
2つの木材をあわせた時にできる段差のことを
『目違い』といいます。
鉋で目違いを取る際には、
一か所だけを削るのではなく、
全体的に削ります。
そうしないと一か所だけ凹んでしまうので、
全体が平らになるよう、バランスを見ながら
削っていきます。
また丸や円などの『曲線・曲面』には
「南京鉋(なんきんがんな)」と言われる
横長の鉋が使われます。
平鉋(ひらがんな)に比べて、自由に削れる分、
削りすぎないよう、注意して削り進めていきます。
木を切削する道具 : 鑿(のみ)

鑿(のみ)は木に対して突くような動きをして、
木を切削する道具になります。
刃の形状も大きさもたくさんあり、
加工の用途に合わせて使い分けます。
余談なんですが、
平鑿(ひらのみ)を研ぐのはとても難しいです。
砥石にあたる面積が小さいので、
刃の角度が変にならないように
手首を固定しながら研いでいきます。
私も前職では仕事終わりにずっと練習しており、
はじめの頃は何度も刃を丸くしておりました、、。
「嫁は貸しても砥石は貸すな」の教え
決して砥石は他人に使わせてはいけないという意味。
研ぎ方には人それぞれの癖があり、誰かに使われてしまうと
砥石に癖が残り、一気に研ぎにくくなってしまうので、
決して他人に貸してはいけません。

鑿はホゾと呼ばれる
木組みの加工に使われます。
WICKER CHAIRの脚部分
椅子やテーブルの脚には、
ホゾとホゾ穴を彫って
組立てている物があります。
見えなくなる場所なのですが、
ホゾの正確さが家具の強度に繋がるので、
緩みが出ないよう、細部まで正確に成形します。
またスプーンや器などの
丸みを帯びた掘り込み箇所には
丸鑿(まるのみ)が使われています。
刃先が丸いものや首から曲がっているものなどがあり、
それらを使い分け、木目を読みながら掘り進めていきます。
木を切断する道具 : 鋸(のこぎり)

鋸(のこぎり)は刃を木に当てて、
後ろに「引く」ときに切ることが出来ます。
樹種や切る箇所によってはかなり力を使うので、
ずれたり切りすぎたりしないよう
注意して作業を行います。
ちなみに海外の鋸は「押す」ときに切ることが出来ます。
先に紹介していた鉋(かんな)も、海外のものは
「押す」ときに削ることができます。
「引く」という使い方は日本の道具の特徴ですね。
鋸が使われているところは、
家具の接合部分で、写真のような
『ダボ埋め』が施されている箇所です。
家具の接合場所には、
ビスを使って組んでいる物があり、
ビスの頭を隠す技法として、
ダボ埋めというものがあります。
ダボを切り落とす際には、
『あさり無し』の鋸を使うと良いです。
『あさり』とは
鋸(のこぎり)のギザギザの箇所が
少し外側へ開いている箇所の名称です。
少し開いていることで、木材が鋸の刃を
挟まないようにしてくれます。
『あさりなし』だと、
刃を家具にくっつけて切っても傷が付かないの、
ダボ切りをする機会がありましたらオススメです ^ ^

また、あまり無いかもしれませんが、
椅子やテーブルの高さを低くしたい時に
鋸が使われます。
機械で行う事もありますが、
物によっては機械ではできない物もあり、
そのような時は手道具で行う方がやり易いです。
墨付けをしっかり行い、ズレのないように切断します。
過程を知ると、インテリアはもっと面白く感じる。

いかがでしたでしょうか。
普段何気なく使っている家具でも、
その過程を知ると、より愛着が湧きませんか。
木の元々の自然の形から、
人の手によってカチッとした形に変わる過程は
知れば知るほど面白いです。
みなさんもインテリアショップへ行かれた際には
作る人目線で家具を見ていただき、
インテリアを楽しんでいただけたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。












編集部 辻口
お客様係 山崎
青山店 近藤
元編集部 岩部
品質管理 遠藤
編集部 江上
元カメラマン 米本