
そもそも無垢材はなんとなく知ってるけど、突板って何?という方が多いと思います。
https://www.receno.com/pen/school/u7/2014-11-14.phpこんにちは。
品質管理チームの仮屋﨑です。
「木」そのものの質感や
手触りを感じられる無垢材を使用した家具。
無垢材の扱いは少々やっかいで
使う環境によっては
ひび割れや反りなどが発生してしまいます。
長くご愛用いただくために、
これまでも何度か木工用パテを使った
木材割れのメンテナンス方法については
ご紹介してきました。
今回は天然素材である蜜蝋を使った
メンテナンス方法をご紹介していきます。
無垢材とは簡単にいえば「木」を
そのまま使用した木材のことです。
森林から伐採した丸太を
柱状や板状に製材して、乾燥、加工した後、
家具・建材などの製品に利用します。
そもそも無垢材はなんとなく知ってるけど、突板って何?という方が多いと思います。
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「木」は伐採され木材に加工された後も
呼吸をしており、湿度や温度の変化に合わせて、
空気中の水分を吸い込んだり、
木材の中に含まれる水分を放出したりします。
その際、無垢材は水分を吸い込むと膨張し、
水分を放出すると収縮する性質があります。
この収縮したときに、木材の繊維同士に
引っ張りあう力が働くことでひび割れが発生します。
無垢材家具を設置する環境に気を付けることで
完全ではないですが、ひび割れや反りの発生を
抑えることができます。
無垢材家具の注意点については
下記マガジンにて詳しく解説しておりますので
ご一読ください。
無垢材の家具と永く付き合っていくために、基礎知識を知っておこう。
https://www.receno.com/pen/maintenance/u6/2022-03-02.php加湿や空調に気を付けて予防していても
天然素材であるため、絶対に割れないとは限りません。
小さい割れであれば、夏場に戻る可能性がありますが、
徐々に割れが大きくなる場合は、
補修に挑戦してみてもよいかもしれません。
そこで、今回は蜜蝋によるひび割れの
補修方法を紹介していきます。
蜜蝋は、ミツバチが巣を作る際に腹部にある
器官から分泌するロウ(ワックス)のことです。
ハチミツを採取し終えた
巣を加熱・圧搾、煮溶かすことで
蝋分を抽出し、蜜蝋が精製できます。
なぜ、この蜜蝋が無垢材の
割れのメンテナンスにおすすめなのか。
それは蜜蝋自体が粘性のある素材のため、
木材の呼吸に合わせて柔軟に割れを
埋めてくれるからです。
また、口に含んでも問題のない成分のため
お子さんがいるご家庭でも安心して
お使いいただけます。
それでは、ここから
実際のメンテナンス方法をご紹介していきます。
まずは以下の道具をご用意ください。
補修する箇所の汚れを取り除き、割れの亀裂に
沿って両サイドをマスキングテープで養生します。
亀裂が湾曲している場合は
マスキングテープを沿わせながら貼り付けてください。
割れが側面と裏側まで広がっている場合は
蜜蝋がこぼれ落ちないようにテープでふさぎます。
金属製のスプーンなどに蜜蝋を入れ、
湯煎またはアイロンなどで溶かします。
大変熱くなりますので、やけどには注意してください。
液状になった蜜蝋を割れた部分に流し込みます。
このときうまく流れ込まないことがありますので、
アルミホイルなどで注ぎ口のある容器を成形して
移し替えるなど注ぎやすいように
工夫してみてください。
亀裂の周りにはみ出した蜜蝋を
ヘラやスプーンの背などを
使って溝に押し込みます。
数分放置し、蜜蝋が固まったら、
はみ出している部分を
ヘラやフォークなどで削り取ります。
この時強く削って木部表面を
傷つけないように気を付けましょう。
マスキングテープを剥がし、
紙やすり#240で木目に沿って磨きます。
木部を削らないよう優しくサンディングしてください。
ウレタン・ラッカー仕上げの場合は、
塗膜を削りすぎないように
盛り上がっている蜜蝋部分だけを
サンディングしてください。
オイル仕上げの家具の場合は
木材家具用のオイルをウエスを使って塗布します。
木目に沿って少量ずつ塗り込みましょう。
ウレタン・ラッカー仕上げの家具の場合は対応する
メンテナンスクリーナーなどを塗り込みましょう。
オイル塗装で仕様したウエスはそのまま放置すると
発火する恐れがありますので、
水に浸してから廃棄してください。
また必要に応じて
木材家具用の補修ペンなどで着色します。
蜜蝋に色が付きにくいので、木材より少し濃いめの
補修ペンを使うことをおすすめします。
湿度の高い季節になると、
木材が空気中の水分を吸収し膨張します。
このとき割れが元に戻ろうとするため、
埋めた蜜蝋が押し出されてきます。
季節の変わり目に割れの状態を確認して
はみ出てきた部分については
④~⑥の工程を再度行ってください。
逆に割れが拡がっている場合は
①からの手順で補修してください。
前述の補修に必要な道具類をいくつかご紹介します。
下記の補修キットはオイル仕上げ用の塗料など
必要な道具が一式付属しています。
「オリジナル家具・金物の上手工作所」で取り扱う商品「ミツロウ補修キット」の紹介・購入ページ
https://www.jo-zu-works.com/view/item/000000000372?srsltid=AfmBOopwH0NJz1oJUcVk-m5arGl9MvloHSuzksk9JCeTuPvxZi4K_0zHオイル仕上げ用の
メンテンナスオイルはこちらです。
経年でオイルも揮発してしまうので、
定期的にメンテナンスをすることで、
割れの発生などを抑えることができます。
色あせや乾燥から木肌を保護し、ツヤを与える「ウッドコンディショナー HOWARD (ハワード) フィーデンワックス 236ml」。天然の蜜蝋から作られています。
https://www.receno.com/care/hw-fw.phpウレタン・ラッカー仕上げ用の
メンテナンスクリーナーはこちらになります。
こちらのクリーナーは塗膜を修復する効果はなく
あくまで表面の汚れを落とし、
キズなどを目立たなくするものになります。
割れ補修後に塗り込む場合は
亀裂の周りの汚れを落とし、
細かいキズを馴染ませる意識で塗ってください。
塗装を傷めず、家具の汚れを落とす「ウッドソープ HOWARD(ハワード) クリーナフィニッシュ 473ml」。テーブルやチェア、ソファーなどの木製家具に、幅広くお使いいただけます。
https://www.receno.com/care/hw-cf.phpさて、今回は蜜蝋を使った無垢材の割れ補修について
ご紹介しましたが、いかがでしたか。
無垢材家具は使っている間も呼吸を繰り返し、
環境の変化に合わせて、形を変えていってしまいます。
メンテナンスや環境に気を付けないといけないので
少し面倒だと感じる人も多いかと思いますが、
自分だけの家具として長く一緒に暮らすことの楽しさも
無垢材家具の魅力だと思います。
本マガジンを参考にメンテナンスの方法を知ることで
今お使いの家具を気にかけていただければ幸いです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
とっても簡単♪蜜蝋ワックスで、オイルフィニッシュ家具をメンテナンスしよう。
オイルフィニッシュの無垢材家具にワックスを塗って、保湿をするメンテナンス手順をご紹介します。