
時代を超えて愛される、北欧の名作。長い時間を共にし、暮らしを彩るガラスベースです。
https://www.receno.com/vase2/aalto-fv.php公開日 2026年08月20日(木)
こんにちは、カメラマンの辻口です。
ずいぶん前になりますが、妻の誕生日に
何を贈ろうかと迷った年がありました。
兵庫県立美術館の「アアルト展」で飾られてた
フラワーベースに後ろ髪を引かれていたのを思い出し、
選んだのが、イッタラのフラワーベース
「アルヴァ・アアルト」。
世界中で「アアルトベース」の名で
親しまれている、北欧の名作です。
いたく気に入ってもらえて、
しばらくすると、今度は違うサイズを
自分でお出迎え。
そんなわけで、いまは我が家に
2つのアアルトベースが並んでいます。
今回は、この「アアルトベース」が
なぜ贈り物になるような名作なのか、そして
使ってみて分かった「おすすめの飾り方」に
ついて、お話ししていきます。

時代を超えて愛される、北欧の名作。長い時間を共にし、暮らしを彩るガラスベースです。
https://www.receno.com/vase2/aalto-fv.php
インテリアの世界には「名作」と呼ばれ、何十年、
何百年と愛され続けるものがありますが、
「フラワーベース」というカテゴリーで
名作と呼ばれるものはそう多くないと思います。
フィンランドでも、贈りものの定番なんだとか。
名作と呼ばれるアイテムには必ず背景があり、
その歴史が面白く、記事を書いてみたり、
実際に我が家へ迎えてきたりしました。
そして、やはりこのフラワーベースにも
名作と呼ばれる理由がある、と使ってみて
よく分かりました。
3つに分けて、お話ししていきます。
まず、このフラワーベースが生まれた経緯から。
デザインしたのは、高名な建築家であり、
ファニチャーデザイナーとしての
顔もあわせ持つアルヴァ・アアルト。

フラワーベースには、その偉大な
デザイナーの名前がそのままつけられています。
1936年の秋、今ではガラス・陶器ブランドとして
広く知られている「イッタラ」が、パリ万博へ
出品するガラス作品を公募していました。
アアルトベースは、アルヴァ・アアルトが
パリ万博へ応募した、5点の案の1つ。
それは、クレヨンと鉛筆で描かれたラフスケッチの
ようなものだったそうで、当初はフラワーベース
として描かれたものではありませんでした。
このデザインの由来は「衣装のドレープ」や
「湖の形」「水たまり」と諸説ありますが、
アルヴァ・アアルトは明確に言及しておらず、
想像を楽しむ余地を残しています。
こうした「プロダクトの出自」だけで話が膨らむのは、
名作と呼ばれるものに共通する点です。
「アアルトベースの魅力」は、なんといっても
このアアルトのラフスケッチから生まれた
「有機的な曲線」ですよね。
この「有機的な形」に人が魅力を感じるのは、
お部屋の中にあるものが、基本的には
「無機的な形」をしているからだと思います。
大抵のものは量産に適した形、つまり「直線」や
「四角」や「丸」の定型しやすい形で作られます。
そういうものに囲まれて生活しているからこそ、
例えば「植物」や「空の模様」や「波のうねり」と
いった意図のない「有機的な形」に惹かれるわけです。
この「アルヴァ・アアルトの創造」から生まれた
曲線をプロダクトとして生産するのに、かなりの
試行錯誤があったんだとか。
薄い鉄板を曲げた型ではエッジが立つので、
最終的にたどり着いたのが「木で作った型」でした。
しかし、1000℃を超えるガラスを木の型に
吹き込むので、使うたびに焼けていき、
作るのに3〜4日、使えるのは2日ほど。
1954年に鋳鉄の型へと変わったそうですが、
現在も1つ作るのに職人7人がかりで
30時間以上かかるそうです。
作りやすさより美しさを取ってきたからこそ、この
フラワーベースは名作として生き残ってきたのだと
納得させられます。
しかし、これだけ個性的な形をしているので
最初は「ちょっと上級者向けっぽい」という
イメージがありました。
ただ、実際に使ってみると
「実はむしろ使いやすい」ということが
分かってきます。
理由は、この曲線がお花を支える
「支点」になるからです。
お花をフラワーベースに飾るとき、お花は
「底や側面」、そして「もたれかかる口の部分」の
2か所で支えられています。
この2つの支点を、アアルトベースの曲線が
受け止めてくれるわけです。
これが、例えば口の広く空いた真円の
フラワーベースだと、お花を支える場所がなく、
バラけてしまいます。
紐やゴムで茎を束ねれば、お花の動きは作りやすく
なりますが、アアルトベースはお花を束ねなくても
そのままでバランスよく飾りやすい。
こうした「見た目だけでなく道具として使いやすい」
というところも、名作の共通する美点です。
ここまで、アアルトベースの魅力について
お伝えしてきました。
リセノで扱っているのは、
高さ25.1cm(251mm)と、
高さ16cm(160mm)の2サイズです。
せっかく2つとも持っているので、ここからは
それぞれのおすすめの飾り方と、サイズ選びについて
お話していきます。
まずは「高さ25.1cm(251mm)」から。幅と
奥行きがどちらも約15.5cmで、接地面が小さく
縦に伸びるぶん、思っているより狭い場所にも
置けるサイズです。
縦に伸びたかたちには、上へ向かって
広がっていくお花がよく似合いますが、
おすすめは1本の茎が枝分かれして
先に複数の花がつく「スプレー咲き」です。
こうしたお花を、フラワーベースの口の広さと
同じくらいになる本数を用意すると、バサッと
生けるだけで自然と上に広がって、きれいな
三角形になります。
また、同じように上が広がる形にまとめられた
ブーケも相性がよいですね。
トップが大きく広がるお花やブーケよりも、
茎から均等に広がっていくような「逆円錐形」の
お花が飾りやすいと思います。
縦に長いアイテムは、ディスプレイのときに
あると助かるアイテムです。
雑貨を並べて飾るとき、背の高いものがないと
どうしても平坦になってしまいますが、
キャビネットや棚の上にひとつ置くだけで、
高さの起点を作ってくれます。
フラワーベースはそうした用途の代表ですが、
特に25.1cmサイズはディスプレイに
組み合わせやすいです。
アートやオブジェと組み合わせて、高さの
違うものを3点そろえて三角形をつくると、
ぐっとまとまって見えます。
センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げる「ディスプレイ」のセオリー後編をご紹介します。
https://www.receno.com/pen/pointstyling/u4/2024-09-07.php
次は「高さ16cm(160mm)」サイズです。
25.1cmサイズに比べると、高さが抑えられ、
口がぐっと横に広いです。
幅は約19.5cm、奥行きは約18.5cmあるので、
置き場所が決まっているときは、まずそこに
収まるかどうかを確認するのがよいです。
こちらは上に伸ばすというより、ベースの口に
お花をもたれさせて、外へ流していくように
飾ると美しく決まります。
低くて横に広いぶん、そうすると
全体のバランスが取れる。
このフラワーベースの象徴である曲線も、
16cmサイズのほうがより目立ちやすくなります。
お花は上に少しボリュームがあるものや、
枝垂れるような植物がおすすめで、重さで
自然と外へ流れてくれるので、こちらが
手を加えなくてもいい形になってくれます。
16cmは重心が低く、フラワーベース単体でも
バランスが取れているので、なにかと
組み合わせなくても、単体で置いても様になります。
我が家でよく置いているのはスツールや
サイドテーブル、それにダイニングテーブルの上。
このフラワーベース1つで一気に雰囲気が華やぐので、
来客の際にもお花を入れて飾っておきたくなります。
「どこに」「何を置く」の2点を押さえて、フォーカルポイントを美しく整えましょう!
https://www.receno.com/pen/coordinate/u19/2022-02-21.php
最後に、アアルトベースの魅力として感じたのは、
「お花がなくても美しい」ということです。
忙しい暮らしの中で、毎日お花を用意するのは
けっこう大変ですし、空のフラワーベースが
家にあると、なんだか生活の余裕のなさを
感じてしまうことがあります。
でも、アアルトベースはお花を飾っていない
姿を見ても、罪悪感よりも持っていることへの
満足感がある。
そういう美しさがあります。
そんなフラワーベースはそれほど多くないなと、
日々インテリアの仕事をしていて感じます。
アアルトベースの魅力や、おすすめの
飾り方についてお話してきました。
長く使えるものを選ぶと、暮らしのほうが
少しずつそれに合わせて変わっていくもので、
お部屋に花があることが多くなった気がします。
ちょっとした光の変化や、飾るお花によって
変わる表情は、まだまだ飽きません。
ぜひ「一生モノ」のフラワーベースを
探されている方は、どこかで
手に取ってみてほしいなと思います。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
リセノのオリジナルを含めた18種類のフラワーベースを一挙にご紹介。選び方のポイントも4つにまとめました。
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