公開日 2022年08月30日(火)
更新日 2023年05月10日(水)
【やわらかく、ひびく。】祈り届ける、お盆の風景
気がつけばお盆。
夏も最盛期を迎えました。
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今年のお盆は実家には帰省せず、京都で過ごすことに。
いつもは実家で用意してくれるお供えたちだけど、
帰省しないとはいえ、
きちんとご先祖様をお出迎えしたい気がして
今年は自分で準備してみることに。
用意するものは、花とお菓子と・・
あとはあれだ。
精霊馬。
きゅうりを馬、なすを牛に見立てた
お盆にご先祖様が下界へ帰ってくるための乗り物。
10年程前、父の初盆のときに知った精霊馬、
大人になって知ったこの風習はなかなか衝撃的で。
「子供じみた発想・・まぁ、なんか可愛いけど」
そんな感想を持った私も、歳を重ねたせいもあってか
風習を大切にしたい気持ちも出てきて。
「よし、やってみよう!」
夏の工作気分でチャレンジしてみることに。
とはいえ、野菜に割り箸を刺すだけなのだけれど。。
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完成。
あ、きゅうりはやめて、ズッキーニにしました。
きゅうりも買ってみたけれど
なんだか威勢が足りない気がして。
ご先祖様もいまや大所帯でしょうから、
安定感がある方がいいよね。
なんて、先祖が乗り合わせている様子を想像して
しっかり楽しんでいる。
私だって十分、子供じみているのかもしれない。![]()
ゆるく迎えたお盆もつつがなく過ごし、
8月16日。五山の送り火。
精霊をあの世へ見送る京都の伝統行事。
お迎えもちゃんとしたのだから、
お見送りまできちんとしたいところ。
ただ平日のこの日は仕事終わりで
20時の点火に間に合うかどうか。
しかも夕方から、強い雨が降り出した。
今年は3年振りの全面点火だというのに。
こういう時は、自称・晴れ女の力を使いたいところ。
大切な日は、晴れとまではいかなくても、
雨は降らないからなんとかなることが多い。
だからきっと大丈夫。
そんな根拠のない自信で仕事をしていると、
就業時間ごろ、本当に雨がやんだ。
「いける。」
急いで自転車に乗って、
緩やかだけど地味に堪える上り坂を上がる。
間に合った・・と思ったのも束の間、
カメラのSDカードを部屋に忘れていた。
20時。大文字の点火開始。
静かに、でも力強く燃え盛る炎を後目に
急いで部屋にSDカードを取りに帰る。
焦りつつ、なんとかカメラに収めた大文字
大文字を一直線に望む細い路地に戻り、
なんとか汗だくで収めた写真たちは、
動揺を映したかのようにブレブレ。
焦っているうちに、だんたんと火の力も弱まっていく。
あーあんまりいい写真、撮れなかったな・・
人もまばらになり、静けさがもどっていく。
まぁ、こんなもんか・・仕方ない。
私も帰路につく。
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帰り道。
行きしに見かけたおばあちゃんが、
まだ送り火に手を合わせ、祈りを捧げ続けていた。
こうやって人知れず、誰かの幸せを祈る人がいる。
少しだけ心を落ち着けて、振り返ってもう一度、
私も送り火に祈りを捧げてみた。
慌ただしいお見送りだったけど、
私の祈りも届いているといいな。。
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家に帰ると、
リビングには大家さんからの差し入れが置いてあって
部屋に戻ると、また強い雨が降り出した。
やっぱり祈りは、届く気がしている。










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