
公開日 2022年08月01日(月)
更新日 2023年05月02日(火)
【蚤の市で見つけた偏愛品】
なにかの欠片
古いものと、
古いものが好きなひとに会いたい。
その一心で、平安・蚤の市へ足しげく通う。
毎月の僕のルーティーン。
小雨が降ろうと、風や日差しが強かろうと、
そこかしこにいる誰もが、僕とおんなじ。
子どものように、目を光らせ、
夢中で宝探しをする。
先日出会った君は、石?ブロック?レンガ?
店主にも、わからないようだった。
それなら、今から何にでもなれるんだ。
僕は、ふとそう思った。
なんだか分からなくても、いい。
たくさんの中の一つ、君とだけ目が合った。
それが、今ここにいる理由。
まさに、一目惚れ。
誰かにとっては、何者でもないとしても、
僕は、君をとても美しいと感じる。
その理由は、きっと、この佇まい。
人工物では生まれない、このフォルム。
いろんな苦難を乗り越えてきたのか
ところどころ、欠けている。
僕には、「未完成」にも、「完成」にも見える。
だからきっと、目を奪われたんだろう。
僕は肯定したい。何にでもなれる。
君がどんな毎日を過ごすのか、見届けたい。